北海道の圃場見学行ってきました 2025

羽田から新千歳へ、いざ小麦のふるさとへ

2025年6月末、毎年恒例となった北海道圃場見学が始まりました。
今年は社員とお取引先の方々とともに、羽田空港から新千歳空港へ飛び立ち、北海道ならではの広々とした風景に迎えられながら現地を回りました。

JAながぬまで見た、今年の小麦の様子

まず訪れたのは、JAながぬまさんの圃場。
担当の方から伺ったところ、今年の小麦の成長は順調で、例年よりも収穫期が3日ほど早まりそうとのこと。
収穫はお盆前には完了する見込みだそうです。

また、今年も懸念されているのが「縞萎縮病(しまいしゅくびょう)」というウイルス性の病気。
小麦の品質を守るためには、気候だけでなく病害への注意も欠かせないことを改めて感じました。

品種開発の最前線、ホクレン長沼農業試験場へ

午後は、ホクレンの長沼農業試験場を訪問。ここでは北海道産小麦の未来を担う新品種の開発が行われています。
たとえば「春よ恋」に続く次の品種も、ほぼ完成段階に入っているとのこと。名前は決まってないのはちょっと楽しみですね。
品種開発には約15年という長い年月がかかるそうです。

小麦の進化は“パンの未来”

開発のポイントは、以下のように非常に多岐にわたります:

  • 安定した収量を確保できること
  • 雨や風に倒れにくい「倒伏耐性」
  • 雨による穂発芽を防ぐ耐性
  • 赤カビ病などへの抵抗力
  • そして、「春よ恋」以上の製パン性

広大な試験圃場では、それぞれ微妙に違う条件の下で、何百というテストが行われていました。

感動の原点に触れた1日目

今回初めて試験農場を訪れ、「これからの小麦がここから生まれるのか」と思うと未来のパン作りがどうなるのか楽しみになりました。
私たちが毎日焼いているパンは、こうした方々の長年の努力と研究によって支えられているのだと、改めて実感した1日でした。

横山製粉本社へ

見学2日目の朝は、長年お世話になっている 横山製粉の本社を訪問しました。
代表の横山さんをはじめ、関係者の皆さんと、北海道の小麦事情について意見を交わすところからスタートです。
私(Ryo)自身が今年アメリカで視察した、ナチュラルライフエキスポの展示会やポートランドのベーカリー巡りの話も交えながら、さまざまな視点から情報を共有しました。

石臼工場で見た“粉になるまで”

その後は、全粒粉やもち麦を製粉する横山製粉の石臼工場を見学。
石臼工場は空調管理や製品管理された工場内で、大きな石臼がぶんぶん回っています。何度見ても大きな石臼が回っている光景は圧巻です。

そして同じ工場内にあるのが美粉彩(びふんさい)専用の機械、企業秘密満載の製粉工程は本当に徹底した温度管理の元でゆっくりゆっくり製粉されています。

開発センターでの交流と深まる理解

石臼工場の次は、横山製粉の開発センターへ。
こちらでは、製粉の現場に関わる開発担当の皆さんと意見交換を行いました。
私(Ryo)のドイツで学んだスペルト小麦やライ麦の使い方を日本でも取り入れやすい形にした方法等を共同の講座として開催しようなんて話もしたので決まったらインスタなどでお知らせします。

本社工場で見た“粉の出口”と“はじまり”

そして最後に訪れたのは、横山製粉の本社工場
ここでは主に小麦粉の製粉が行われており、北海道産をはじめとする様々な小麦が、用途に応じて挽かれています。

この工場を始め、横山製粉さんには毎年のように見学させていただいていますが、訪れるたびに新しい発見があります。
「今回はどんなことを聞こうか」「何を見てこようか」と目的を持って訪れるからこそ、学びは尽きません。

今年初めて目にしたのは2つ

今年は特別に、製粉された小麦粉がパレットに積まれていくロボットアームの工程
大きなスケールで動くこの作業ですが、昔は手作業で積み上げてたのかと想像すらできません。

さらに今回はタイミングが合わないと見れない、原料を大型トラックからサイロへ移す様子も見学させていただきました。

地元のパン屋さんを巡って、旅の締めくくり

見学後は、横山製粉さんの周辺にあるパン屋さんをいくつか訪ねました。実は北海道のパン屋にはあまり行ったことがありませんでした。
私たちとは製法が大きく違いますが、参考になる事は非常に多いのでありがたいです。
その後、新千歳空港から羽田空港へと戻り、今回の圃場・製粉見学の旅は無事に終了しました。

2日間を通して、小麦が育ち、粉になり、パンになるまでの過程を北海道の地で見てきました。毎年思うのが小麦が野菜などと同じ農産物であるということ。我々パン屋さんは小麦”粉”になってからしか見ていないので小麦粉が農産物であることを忘れて、粉が安定しないなんて思ってしまいます。小麦が農産物であるからこそ、その年の小麦をしっかり見てパン作りに反映していかなければなりません。

味輝のパンを支える“ふたつの産地の力”

味輝では、北海道の横山製粉さんの粉、栃木県の笠原産業さんの粉を使ってパンを焼いています。
どちらも、顔が見える関係で安心と安全を考えています。

今回のように産地を訪れて、実際に育てる人・製粉する人の声を聞くことで、素材への理解がより一層深まります。
パン作りと製粉の知識は普通だったらそこまで必要ありませんが、素材の力を引き出すようにして焼くパン屋さんには必要な知識だと思っています。

味輝では顔が見える関係を大事に製品作りをしています。今後もこういった報告もできるようしていくのでよかったら味輝パンを食べて応援してくださいね!